2017年5月25日木曜日

荻原健司 共同通信コラム Feb/2017

韓国スキーの未来
平昌の会場を視察して

 1年後に冬季五輪が開催される平昌に行ってきました。ノルディックスキー複
合のプレ大会が行われたからです。主目的は会場を視察すること。メダル獲得に
向け、戦略づくりの一助とするためです。ジャンプ台や距離コースの特徴や雪質
などをつぶさに見て頭の中に五輪シーズンへの強化の方向性が浮かんできていま
す。

 私の心をとても明るくした情景がありました。大会前の距離会場で子どもたちが一生懸命、練習していたのです。ざっと百人近くのジュニア選手がいました。立派な五輪施設で滑れてうらやましいと思うのと同時に、今後の韓国ノルディックスキー界の発展が予期できました。

 今のところ韓国に国際大会レベルの選手は1人しかいません。来年の五輪では4人で行う団体に出場できないと思います。でも大会後はこの種目に目を向ける子どもたちも出てくるでしょう。

 私がゼネラルマネジャーを務める北野建設スキー部のメンバーで、ソチ五輪銀メダルの渡部暁斗は小学生の時、私が出場した1998年長野五輪を家族で生観戦しました。大観衆の声援の中に飛び込んでくるジャンプを見て「いつかは自分が」と感じたそうです。五輪開催は競技普及の起爆剤となるのです。

 韓国では五輪を控え、冬季スポーツへの関心が確実に高まっていると実感しました。今回の大会は韓国スキー発展の種まきとも言えます。五輪後はその種が芽を出し、花を咲かせ、実を結ぶことでしょう。スキーに携わる者として楽しみですし、できることがあれば協力したいと考えています。

 プレ大会には日本から競技役員が派遣されていました。韓国チームのスタッフにも日本人がいます。草の根の交流は始まっています。日本と韓国とはお隣同士。冬季五輪開催国として互いに高め合う関係を築きたい。そんな思いを抱きました。

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