2017年6月20日火曜日

荻原健司 共同通信コラム April/2017

渡部、精力的にテレビ出演
複合を自分の言葉で発信

 私がゼネラルマネジャーを務める北野建設スキー部所属でソチ冬季五輪ノルディック複合銀メダリスト渡部暁斗の春の過ごし方が、これまでとちょっと違います。取材やテレビ出演などを断ることが多かったのですが、この春は精力的にこなしているのです。
 理由を尋ねると「やっぱり自分の言葉で発信していかないと駄目ですよね」との答え。あえて理由は聞きませんでした。なぜなら私には同じ競技経験者として分かるからです。それは複合をもっと知らしめなければということ。発言を聞き、同じ体験をしているなと思いました。
 1992年アルベールビル五輪で私が金メダルを獲得した時に「ノルディック複合というスポーツがあったとは知りませんでした」と周囲から言われました。金メダルの喜びに浸る間もなく、あまりにもマイナーだったと思い知らされたのです。胸にぐさりと突き刺さり、その後の大きなモチベーションとなりました。「複合を日本中、誰もが知っている競技にする」と強く決意したのです。
 そのために必要なのは勝ち続け、取材やテレビ出演を積極的に受けること。自らの言葉で発信する重要性を認識したのです。徐々にマイナーとの表現は聞かれなくなり「荻原さんの活躍で複合は有名になりましたね」と声をかけられることが増えました。それは最高のねぎらいでした。 私も引退してずいぶん時間がたちます。残念ながら渡部のような若者世代には複合を知る人が少なくなっています。渡部は肌で感じているのでしょう。実体験から来る前向きなエネルギーは五輪シーズンへ間違いなくプラスになるはずです。
 最後にひとつだけアドバイスを。せっかくメディアに出ているのですから、もう少し明るく元気に振舞いましょう。

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